職人のせかい

2019年7月28日

昨年末までサラリーマンとはいえ金属を扱う職人の世界にいました。30年前は手順書もないような時代、見て盗む(覚える)というのは当たり前で、手取り足取りやり方などを教えてくれる時代ではなく、親方にもそんな暇はなかったように思います。
「見てれよ」
「できるか? できるな? やってみろ」そんな世界でした。

同じものを作る(加工)するにも職人によって手順も使う道具も違ったりするのは当たり前の世界ですから、当然ダメ出しも違うわけで若いころは混乱の連続でした。機械や削る音を聴く、切り粉や火花の色を見る、切削煙や発する臭いを感じる、手で触り仕上げを観る、五感を使う世界。そんな中で自分オリジナルの方法や手順を創造力を発揮しながら見つけていく。同じものを作るにもたくさんのやり方があってその中から何をチョイスしていくかの自由を与えてくれた。機械を使って金属を加工する職人は一人前になるには10年掛かるといわれていた時代。それより早く一人でこなせるようになったのは、厳しい中でも優しく見守ってくれた先達の方々のおかげでした。技術的な事は勿論の事、見て感じて覚えるということで伝えてくれる方が多くいました。

 

自分の中では職人もカウンセラーの時も感覚を使うその一瞬一瞬が新たな経験をさせていただける機会の場。以前は将来の光となるビジョンを受け容れていただけるだろうか。それらを上手く伝える事ができるだろうかという躊躇と不安がありました。カウンセリングも10年以上やってきて最近はやっと力を抜いて伝える事ができるようになりました。

それもこれも、今まで来てくださった皆さんのおかげです。ありがとうございます。