生まれた先を離れてこの土地で早二十年ほどが経つ。
その間、父を始め、祖父、祖母などを見送った。
急を知らせる際、帰るにも車で移動するのが一番早い。
しかし、道内の移動ですら5時間はかかる。
生ま育った先では親戚が多いので、訃報の際は一斉にこの大号令がかかる。
『慌てずゆっくりかえってこい』
『一緒に連れて行きたくなっちゃったら困るからゆっくりかえってこい』
あちこちから確認のように言ってくれる親戚がたくさんいるのは、それすらもありがたいことなのかもしれない。
今日、10年来の友人からメッセが来た。
『慌てずゆっくり出掛けておいで』とお返事した。
ここの冬は晴天続きだけれど、あなたの帰る場所は雪らしい。
慌てずゆっくり、かえっておいで。