お盆ですね。みなさんお墓参りとかは済んだでしょうか?
この時期になると思い出すことがあります。あれは私か二十歳前のもう30年数年前の事。
母方の叔父が他界した時のこと。
当時はまだ、システムの確立された斎場よりお寺などで行うのが主な時代でした。
生前まだ働き盛りで多趣味だった叔父は、猟銃免許も持っていて、それらを仕留めた後に使うマキリもどこかにお願いした立派な細工のものを持っていたそうです。
実物は見たことがないのですけれどね。
とても暑い夏のことでした。日程上、葬儀まで日がありました。
盆前、義兄で石工の父は、繁忙期のピークで真夜中まで仕事をしている時期でして、なかなかそちらにいる事が叶いませんでしたが…
なにやらその間に、その立派なマキリを守り刀にしたようなのです。
ここまで書いて先が分かる方もいらっしゃる事でしょうけれど、話は先に進みます。
母の末の妹達二人が番をした夜のこと。
真夜中にけたたましくなる家の電話。
「お棺が!お棺が、動くから助けて〜!」
電話を受けた父はすぐに指示を出したものの…現場は大混乱。当時30代の叔母達は丑三つ時に大騒ぎ。
「怖くてできないよー!パパ(母方の末妹は学生時代に家に下宿していたので、そう呼びます)早く来てー」と絶叫。
「寝てたら苦しいって叔父さんが言ってるよ」
叔母達より更にヘタレな当時二十歳前の私が、寝ぼけて夢で見たことを話しながら車を出そうかと思いましたら、難を最小にする父母は、朝まで大人しく寝てなさい。と言い残しタクシーですっ飛んで行きました。
父が到着してしたこと。
お棺を開ける→マキリを取り除く→新品の安全剃刀に変更→お棺を元に戻す→お経を高らかに唱える
あら不思議。
ピタリと全てが収まりました。
嘘のようなほんとの話なんですけどね…
何故?
と思う方もいらっしゃることでしょう。
葬儀システムも万全な時代、そう言ったこともシステムの中で埋もれて知らない方もいる時代になりましたね…
マキリ自体にはなんの問題もないのです。
マキリをなにに使ったか?と言うことなんです。
本来、魚や獣を解体する道具として使われる、その鞘や柄は木製で、木が脂などを吸収し、色に深みが出るものなのです。
殺生したものと一緒はイロイロ アレだと思うの…。
本来の使われ方としては、形見として受け継ぐようですけれど…
美しい最近細工だからと入れたい気持ちも分からなくはない。
記憶に残って、その度に叔父の笑顔を思い出すのは華やかだった叔父らしい演出だったかも知れませんね。
何故こんな思い出を書いているかと言うと。
新品の新作、鞘もくり抜きで、家人用にインスピレーションで今までに彫ったことの無い柄にしてみたと言うマキリ…
家人の元に盆の入りと同時やってきたからなのです。ありがたい事です。
鞘と柄だけなんですけれど。
まぁそれらの経緯は佐々木鉄晴さん(P)の方から追々。
そんな実家方面にも不義理な年となりましたね。
まぁ家人だと草の汁色にしかならないから、イロイロ ノチノチ大丈夫だよ。と思う今年のお盆の私。