息を吐く — 霜の朝に寄せて

朝の庭で、
冷たい空気の中に立ちながら、
「息を吐く」ということの意味を感じました。
それは、手放しと再生をゆっくりと教えてくれる、
自然からの呼吸のレッスンのようです。


庭の片隅で、
小さな赤い実が光を抱いていました。
夜のあいだに降りた霜が、
葉の縁を白く縁どりながら、
季節の深まりを静かに告げています。

吸うよりも、
今は「息を吐く」ことを意識してみる。
胸の奥に溜めていた想いを、
そっと風に溶かすように。

息を吐くたびに、
身体の奥の余白が広がっていく。
そこに、新しい息が自然と満ちていく。

足元を見れば、
土は冷たく、確かに息づいている。
その上に立つ自分もまた、
ひとつのいのちの循環の中にいる。

実を結び、枯れ、
やがてまた芽吹く庭の草花たちのように、
私たちも、手放しながら生きていく。

霜の降りる季節は、
静けさの中にある再生のとき。
息を吐くたびに、
やさしく光が混ざる朝です。